ラブひな IF 〈白夜の降魔〉
『武具説明編』
―――――神鳴流の霊器―――――
神鳴流に五つの位『無・将・仙・聖・神』があり、それは人だけに留まらず霊器にも当てはまる。そして、基本的に各位の者には各位の霊器が授けられる。
中には素子のような例外もあるが、大方はその様なことはありえない。
ただし、最下位である『無位』の名を冠した霊器はなく、宛われるのは名も無き只の霊具。霊器というモノに馴染み、扱いになれる為だけの存在。
そして、同じ位でも、人と同じように上下があり、大きく分けて『上級』『中級』『下級』とある。
【武具の属性】
武具に篭められた属性は大きく分けて七つ。
五行である〈木〉〈火〉〈土〉〈金〉〈水〉、そして神氣などの浄化能力を上げる〈聖〉、なにも属性がない〈無〉の属性。
基本的には五つの属性が主。〈聖属性〉〈無属性〉は仙霊器や聖霊器などに存在している。
只、無属性はなんの加護も無く、相生・相剋が行えない代わりに特殊な能力を秘めている場合が多々ある。むしろ、無属性は特殊な能力を有していると考える方が普通となる。
【四段階の霊器】
『将霊器』
将位の者に授けられる霊具。
実質的に、『神鳴流の霊器』と呼べるのはこれからで、その中でも下位の霊器。しかし、無位の時に与えられた霊具より格段に強い力を秘めており、属性も与えられ、武器を通じて相生・相剋を行えるようになっている。
それ以外に特筆すべき能力はない。端的に言えば、これより先の霊器を扱うための訓練器。
その数は多く、同じ名前、同じ武器が複数存在している。
『仙霊器』
仙位の者に授けられる霊具。
神鳴流の中で数が尤も多い。外部で神鳴流の武具といえば大方がこれを示していると言ってもよい。
基本的な性能は将霊器と同じだが、大きく違う点が三つある。それは『増幅力』と『力の発動』。
前者は将霊器より強力に霊氣・氣を増幅させる力。後者は、仙霊器の秘めた力を発動させる事の意。
発動と一言に言えど、その発揮の力は様々あり、特殊能力を発揮する霊氣もあれば、只純粋に力を上げる武具もある。
ただ、共通しているのは、解放されればその力を飛躍的に上げ、驚異的な力を発揮する事。
そして、〈無属性〉や〈聖属性〉以外の五行の属性を帯びた武器は、それそのものの属性に固定され、通常時のように相剋対象の技を増幅力や純粋な霊氣を使い威力を上げるという行為が一切できなくなるという欠点がでてくる。
仙霊器もまた、将霊器と同じく同じ名前、同じ武器が複数存在しているが、将霊器ほどではなく、また唯一のモノもそこそこ存在する。
『聖霊器』
聖位の者に授けられる霊具。
一部を除き、神鳴流の戦士達が憧れ、目指す【聖位】の者のみが持つことができる。これより上には二振りの霊器しかないため、組織的には最高の霊器。
その増幅力は半端ではなく、【発動】させた仙霊器をも超えている。
そして聖霊器は伝説上の霊獣や聖獣、神獣の名を冠しており、持ち手の氣を使い、擬似的にその獣を作り出すことができる霊器。
その力は強力無比で、秘奥義【聖獣顕現】極めた者は神獣や霊獣の名に恥じない力を発揮させる。
先の二種の霊器『将霊器』と『仙霊器』は実績と実力、上位の者達の審査、試験に合格すれば授けられるが、聖霊器とその上の霊器は異なり、霊器自身が持ち手を選ぶ。
とある儀式を受け、霊器に選ばれた者だけが『聖位』となれる。
聖霊器は複数存在することなく、唯一無二。破壊された時点で作り直すが、その時にも破壊された聖霊器を使用するため、新たに造ると言うよりも生まれ変わるという感の方が強い。
『神霊器』
神位に選ばれた者に…否、神霊器に選ばれし者のみが持てる神鳴流最高の武器。
聖霊器と同じく、霊器が持ち手を選ぶ。その選ぶ基準は不明だが、神鳴流の長い歴史でも選ばれた者は僅かと言って良いほど少ない。
―――――武具説明―――――
『止水』
形状:日本刀
位階:将霊器
属性:土
使い手:青山 鶴子 → 青山 素子
備考:元は普通の『将霊器』だったが、強力な鶴子の氣に錬磨され、刀剣系・将霊器の中でも最強の武器となる。後に、鶴子の位が上にあがる時に、将来性を見込まれた素子に授けられる。
しかし、十五話の時点で前の持ち主である鶴子に破壊された。
『明鏡』
形状:日本刀
位階:無し(神鳴流の武具でないため)
属性:無(ただし、篭める氣の属性に変化有り)
使い手:青山 素子
備考:愛刀『止水』を失ったため、素子が新たに手に入れた刀。制作者は白井だが、原案は景太郎。
原材料は『吸精石』という石で、元は持ち手の精気を吸い取る魔石。それを加工し、魔力回路を刻み、吸い取った氣にて刀身を形成する刀を製作。
氣をそのまま攻撃力に転化するため、攻撃力に限界はない。あるとすれば、刀身自体が氣の大きさに耐えられずに壊れる限界がそれにあたるかも知れない。
ただし、それを行うには膨大な氣を一瞬で叩き込まなければならないので、少なくとも、今の素子(十六話現在)では不可能なので、破壊する危険は一パーセントもない。
『五龍』
形状:日本刀
位階:神霊器
属性:木・火・土・金・水
使い手:青山 鶴子
備考:神鳴流の最高位〈神霊器〉二振りの内の一つ。神鳴流の武具の中で唯一、五つ全ての属性を兼ね備え、相応・相克を自在に行う強力無比な武器。しかし、普段はその力を封印しているらしい。
長い歴史上でも封印を解放することは滅多になく、鶴子も数える程度しかしていない。
対となるもう一振りの『神霊器』は数百年前に封印されており、存在自体も高位の者しか知らず、”名”は誰一人として知る者はいない。
注釈―――――神霊器・聖霊器の秘奥義・獣皇系で作られた動物…五龍の【龍】や朱雀の【鳥】は召喚などではなく、持ち手の『氣』により創造された存在。その力は本物とは比べものにはならないが、使い手次第ではその名に恥じないほどの力を発揮する。
『ひな』
形状:日本刀
位階:不明
属性:不明
使い手:不明
備考:神鳴流が所有する魔剣、妖刀の中で最凶最悪と伝えられている刀。
所有する者を狂気に陥れ、修羅にする。その刀身は黒で、微かに残っている伝承では人を斬りすぎたとも、使い手の邪気を吸い取った故と云われている。
未確認の情報だが、最初に殺戮を起こした際の使い手は人間では無いとも言われている。
つい最近までは、神鳴流の鍛冶一族が封印していたが、その跡取りが奪取、行方不明。
『炎雷覇』
形状:剣
位階:―――――
属性:炎
使い手:神凪 綾乃
備考:神凪の神宝。魔を滅するための破邪の剣。約千年前、神凪の初代宗主が『炎の精霊王』の恩恵を受けた際、授かったと言われる宝剣。事の真偽はともかく、それに納得するほどの能力を秘めており、炎術師最強の呪法具であることは間違いない。
普段は使い手の体内に宿っており、呼びかければいつでも体内から喚び出せる。ある意味、使い手と一心同体となっている。
形状は剣とあるが、西洋剣などではなく、日本の古い剣の形状。
基本的に、代々の宗主が受け継いでいる。(無論、例外もあり)―――――今の使い手、綾乃は才能はあるが、いかんせん今までの努力が少なく、その能力を真に発揮できていない模様。
今現在では、実力で自分の上をゆく存在に影響を受け、真の力を発揮できるよう日々鍛錬を続けているらしい。
『水昂覇』
形状:棒
位階:―――――
属性:水
使い手:浦島 可奈子
備考:浦島の神宝。あらゆる魔を駆逐する、破魔の武具。浦島の時の宗主が『水の精霊王』の加護を受けし際、授けられたとされている。
(初代と称さないのは、水術師となる以前から『陰陽術師』の大家として存在していた故)
形状は棒とあるが、それは基本の状態で、使い手の意志一つで様々な武具に変化する、ある意味〈万能武具〉
だがそれ故に水昂覇の扱いは難しく、変幻自在に扱える様になるまで最低五年は必要と言われている。
今の使い手である可奈子の歳で、あれ程扱えるのはある意味非常識に近い。本人の努力と目的ゆえの結果だが、短期間で水昂覇を扱ったことに関してはひなたですら驚いた。
炎雷覇と同じく、普段は使い手の体内にあり、いつでも喚び出すことが出来る。
『葉澄』
形状:小太刀
位階:仙霊器 【中級】
属性:木
使い手:浅葱 麗子
備考:持ち手が麗子ゆえに、たびたびその刃を相方である『不動 大牙』に向くことあり。その数は数えきれないほどだが、意外にも斬った回数自体は少ない。
『黒破』
形状:手甲
位階:仙霊器 【中級】
属性:土
使い手:不動 大牙
備考:暗器を内蔵。使用時は刃が飛び出し、まるでナイフを逆手に持っている様な感じの形状となる。
浅葱 麗子から主を幾度も助けた一品。その数はなぜか妖魔退治よりも多い。
『切葉』
形状:柳飛剣
位階:仙霊器 【中級】
属性:木
備考:柳の葉のような形をした武器。五つで一つのセット。分身体を作り出して攻撃したり、結界の基点として私用したりと、その能力の汎用性は高い。ただ、代わりに攻撃力がやや低いのが欠点といえば欠点。もっとも、それでも十センチ程度の鉄板を容易く貫くほどの威力はある。
『朱雀』
形状:弓
位階:聖霊器
属性:火
備考:本編初登場…正確には、初めて名が出た聖霊器。四神相応の一角・南を担う聖獣の名を冠せし武器。持ち手の火氣を使用し、火の鳥を生み出す。五龍の説明下の注釈にあるように、その能力は本人次第。今の使い手は百%発揮できていない様子。
しかし、相手が相手だけあって、仮の百%の力を発揮しようとも通用しなかったであろう事は想像に難くない。
『白虎』
形状:鉤爪
位階:聖霊器
属性:金
使い手:佐々木
備考:四神相応の一角、西を担う聖獣の名を冠せし武器。その名の通り、持ち手の土氣を使用し白き虎を創造する。使い手自身が相当の手練で、先の朱雀の使い手よりは真の力を発揮することができるのだが、残念ながらその力を発揮する機会はなく、八神和麻に容易く敗れ去った。
『金剛剣』
形状:三鈷杵
位階:仙霊器 【中級】
属性:金
使い手:伊舎那
備考:密教法具の一つ、三鈷杵の形をした霊具。刃が仕込まれており、片手剣へと形状変化をする。そちらの方が攻撃力は上がるが、三鈷杵の形状の方が術の増幅率は高い。
余談だが、和麻の刃や空気弾をかなり防いだ為、その刃はボロボロ…現在、造った鍛冶一族の手に戻り修復中。更なる改良を施されている……らしい?
『銀翼』
形状:十文字槍
位階:仙霊器 【上級】
属性:金
使い手:青山 彰人
備考:神鳴流の剣姫〈青山 鶴子〉の伴侶、彰人が所有する仙霊器。元々、槍の霊格は仙霊器の中でも中堅辺りと、伴侶に見合うほど強力ではなかった。
が、十数年も五龍の攻撃を相生し続けていたせいか、今ではその霊格は聖霊器に届こうかと言うほどに高まっていた。
二十四話の時点で、景太郎の使い魔〔フレイ〕の炎獣形態による突進により、柄を数十センチほど残して消失。
『海霊』
形状:柄
位階:―――――
属性:水
使い手:乙姫 なつみ
備考:乙姫なつみの頼みで神鳴流が造った霊器。位階こそ無いが、秘める霊氣、霊格は仙霊器の上位に値する。
その用途はなつみがやったような水を刃にするための補助。早い話、なつみにとって水昂覇の代わりだが、収束率などは比べるべくもなく低く、秘める破魔性を強めるわけでもない。水昂覇に比べるとただ単純に水との相性が良いという程度だが、そこらの霊器を使用する事を考えれば、雲泥と言っていい差はある。
『土蛇』
形状:鎖鎌
位階:仙霊器 【中級】
属性:土
使い手:常磐 薫
備考:鎖鎌状の武器。基本的な使い方、攻撃方法などは一般の物とさほど変わらない。しかし、常磐の使い方は武器だけに留まらず、鎖を使いダウジングを行ったりする。
蛇の名を冠した武器だけに、込めた氣を媒介に鎖を自由自在に操ることができる。
『火狂』
形状:日月牙
位階:仙霊器 【下級】
属性:火
使い手:獅堂 琢磨
備考:メリケンサックのような物に半月状の刃が着いた武器。殴ると斬るが同時に行える。 その珍しい形状の武器は仙霊器を問わず、神鳴流の数多い武具の中でも数は少なく、使い手はもっと少ない。〔仙位〕の中では獅堂只一人しか居ない。
『七星』
形状:七支刀
位階:仙霊器 【上級】
属性:無
使い手:木崎 一
備考:数少ない五行のいずれにも属さぬ無属性。その能力は七つの刃に氣を蓄積し、七つの技を同時に放つと言うもの。ただし、その能力は【力の解放】しないと不可能。そして一度放つと充填するまで使えない。
木崎がこれを得て数十年経っており、その能力は十二分に引き出しており、奥義級の技『斬魔剣・二の太刀』等も七撃同時に放つこともできる。
しかし、二十七灯の時点で木崎に両親を殺されたラブレスの手により、粒子レベルにまで切り刻まれて破壊された。
『麒麟』
形状:刀
位階:聖霊器
属性:土
使い手:青山 元舟
備考:五霊の一角、麒麟の名を冠した強力な霊刀。その力は聖霊器の中でかなりの上位で、刀剣系の中では五本の指に入ると言われている。
その使い手である『青山 元舟』はその真価を十二分に発揮しており、数多の強力な妖魔を滅してきた。
青山 元舟の長年の相棒の片割れ。
『黒龍』
形状:小太刀
位階:聖霊器
属性:無
使い手:青山 元舟
備考:聖霊器の中で数少ない無属性の一つ。その能力は『力の吸収』。力ならなんでも吸収し、蓄える。
その力は神氣、妖気、霊気、魔力を問わない。本編でもあったように、精霊の力も吸収するが、あくまで顕現している力、活力であり、【精霊喰い】の様に精霊そのものを喰らうわけではない。
その喰らった力を蓄えてゆく度にその刀身に漆黒の龍が表れ、その全てが表れて初めてその姿を顕現する事ができる。ただし、途中で顕現することは不可能。
そして、使い手である元舟の氣を喰らうことだけはできない。
青山 元舟の長年の相棒のもう一振り。
『パニッシャー』
形状:大剣
位階:―――――
属性:破邪
使い手:グリニデ
備考:吸血鬼ハンター・グリニデが持つ変形式大剣。
変形後は巨大な十字架となり、柄を中心に回転、投擲、盾と攻守共に扱える。ただし、それなりに技量が必要。構成する金属は、基本をミスリルに、それに様々な金属を合成して作られている…らしい。
対吸血鬼の思想の元に造られたらしく、対魔術はもちろん、P・Kなども完全に無効化、変化した霧を消滅させるなど、多様な機能が秘められている模様。
制作者は不明…一説には、吸血鬼自身が造ったとも言われている。世界に数本しかなく、うち一本は日本に古くから続く吸血鬼狩り一族の一人が持っているとの噂がある。
―――――聖痕編―――――
『心繰器』
形状:ボールペン
位階:―――――
属性:―――――
使い手:神凪 景太郎
備考:使い手の精神と同調し、どんな姿にも、形にも変化する魔導具。
使い手の精神力や込める氣により、発揮する力…武器なら破壊力、防具なら防御力…が変わる。
精神力が強ければこれ以上ない武具となるが、逆に使い手の精神力が低ければ力も弱い。発揮する力は本人次第であり、ある意味使い手を選ぶ道具とも言える。
実際、『心繰器』を扱うぐらいなら普通の霊刀や霊具を使った方が力が安定…一定している。
そして、その数もかなり少なく、景太郎が手に入れたのも教授と呼ばれる存在からの贈り物だったから。
精神力をかなり高い次元まで鍛えた景太郎ならばかなり強力な武具を創造できるが、とある事情で炎術と剣術の混合術の行使はできない。
今だ詳細は不明だが、現在(白夜本編)の景太郎は所持をしていない模様。
『双翡・翠蓮』
形状:大振りのナイフ
位階:―――――
属性:風
使い手:神凪 景太郎 → 風巻 陸渡
備考:魔精石を越える魔晶石で造られた一対のナイフ。
その材質から、本来ならかなり強力な武器でなければならないのだが、強力な武器を欲した昔の景太郎が駆け出しだった魔工技創師白井に造らせたものであり、その威力は今一。今の白井なら、魔精石で同等以上の物を造る自信がある。
暫くの間使っていたが、陸渡とコンビを組む際、陸渡の方がより有用に使ってくれると判断した景太郎が贈り、陸渡も景太郎の期待に応えるようにその真価を発揮、更なる術を編み出そうとしている。